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深風 (みかぜ)

Author:深風 (みかぜ)
短く言えば変人。言い直せば変わった人。
風のように千変万化、流し流され、流され流され。

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2/28 みかぜの はじ があらわれた!
…というわけで始めの一歩、書き上げてます。
完成度云々とか言うところは抜きにして、まともに仕上げたのはこれが多分初めて。
書いた途中で投げたのはいくつかありますけど。

行数にして空白含め、90行ちょっとといったところ。

ただし文章は70前後。
しかも、一行一行は少なめです。
短編というにも短いこの一題。
暇つぶしにでもなれば感謝です。

スタジオ深風のショートショート(パクリ)

題41 吟遊詩人

今、ここにて開幕。


「言葉――」
決して、大きな声ではなかった。
だが、その声は、水面に小石を投じるかのごとく、波紋となり辺りへ染み渡り――
街の喧騒は遠のいてゆき――
そこに、日常から離れた空間が生まれた――


旅人の装束を身に纏う男は、自分が発した言葉の余韻に浸っているのだろうか、
まるで眠っているかのように、眼を瞑っている。

私の頭の中に広がっているのは、目の前の男の声――いや、言葉。
…なんでもない言葉。
その、なんでもないはずの言葉が、私の頭の中を、揺るがしている。
言葉。ことば。コトバ――
違う。私の記憶が反芻される。
――だが、知らない。
私は、その男の口から出た「言葉」の意味を見出せない。
私の知る「言葉」は、男の「言葉」とは、別のもの――それだけがわかる。


「――海。――山。――川。――そして街。」
男が言葉を紡ぐ――
一つ一つ、壊れ物を扱うかのように。
その響きを、余韻を楽しむかのように。

その、「言葉」の一つ一つが、私の頭の中で、うねりを上げる。
なんでもないはずの言葉が、私を、揺さぶっている。
前の「言葉」は、後の「言葉」に埋もれない。
後の「言葉」は、前の「言葉」によって霞むこともない。


「言葉は音に非ず――言葉は見えぬ鍵。
 鍵は箱を開けるもの。
 ――耳を澄ませてごらん。――瞳を閉じてごらん。
 聞こえてくるでしょう――視えるでしょう――
 寄せては返す波の音。紺碧の水鏡に揺らめき、映る月。
 木々の葉の、擦れ合う音。梢の間より、天へと続く木漏れ日の路。
 山より海へと続く、小川のせせらぎ。太陽の光を受けては反す、水面の煌き。」
男は紡ぐ――言葉を、まるで、歌うように。

私は耳を澄ませる。瞳を閉じる。
男に言われたから――?
――そうじゃない。
こうしよう、という意思どこにもなく。
それが、当然のこと――そう、思った――違う。
――そう、感じたからだ。

聞こえる。
波の音。葉の擦れ合う音。川のせせらぎ。
――鳥の歌。

視える。
月の光を受けて揺れる海。
風に踊る木の葉。揺れる木漏れ日。
水面の煌めき。自然の恩恵にあやかる命達。


「――鍵は開く。人の、生まれながら持つ、その箱を。
 フルートも、リュートも必要ない。
 そこには、あるでしょう。何物にも劣ることのない、音色が。
 どんな作曲家でさえも創りえない、メロディが。
 箱はオルゴール。そのメロディは、想像という名の可能性。
 あなたの奏でるメロディはあなただけのもの――」

私の中に広がるメロディに乗って浸透する、男の「歌」。
それが、波の音に、葉の擦れ合う音に、川のせせらぎに溶け込み、消えてゆく――

私は瞼を上げる。
先程まで男がいた場所には――誰もいない。
そこにあるのは――普段の、私の街。

目に、視える。
街の風景――
屋台に並ぶ、色とりどりの青果。
広場を行き交う人々。たまに、立ち止まる人。
遠くに聳え立つ、教会の白い塔。
黄金色の鐘が、陽の光を反射して、赤く、輝いている。

そして、聞こえてくる。
街の喧騒――
あれは売り子の声。
遠くで聞こえるのは、馬の蹄の音と、荷馬車の轍が、石畳を転がる音。
広場の噴水の、水の落ちる音――


教会の鐘が鳴る――
家に帰らないと――と、思いつつ、私はその鐘の音に、耳を澄ませる。

鐘の音は、いつもと―――
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幻想百題 | 01:14:12 | Trackback(0) | Comments(0)
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